絵とか雑記です。ほとんどフリピノです。
「ねえピノクル、しない?」
突然の言葉に、手にした教科書にそそいでいた視線をそのまま声の主に向けた。
目の前に、にこりと穏やかな表情で微笑む幼馴染が映る。
一部言葉が抜けた問いかけに対して「何を?」と問わずとも幼馴染の意図は汲み取っていたので
一応確認の為に問い返す。
「今…ここで?」
「うん…時間もあるしいいよね?」
確かに時間はある。
今日は休日で、出かける予定も無く、急務に取り掛かる必要のある課題も用事も無い。
それは今目の前にいる幼馴染も同様であったのだろう。
だからこうして彼は自分の部屋にやって来たのだ。
暇?と声を掛けて部屋に入ってきた幼馴染は特に何か用事がある風でもなく部屋を眺めて椅子に座り
時間を持て余している様子でいたから、ならばと自分の日課である今週の授業の復習を一緒にと誘ったのは
およそ15分程前の出来事だ。
彼がそういった勉強の類があまり好きでは無いのは分かっていた。
案の定不満そうに眉をひそめる仕草をした後、しかし意外にもその誘いを断られる事はなかったから
ああ、やっと彼も自分の置かれている立場のまずさを理解したんだ等と安心してそのまま机に向かい
自身のノートと教科書を彼の目の前に置いて、分からない所が無いかなんて確認をしていた矢先の
先ほどの唐突な台詞だった。
「今、勉強始めたばかりだよ?フリーセル…」
幼馴染と体を重ねる。
ピノクルしない?そんな風に彼が言う時はそんな時だ。
フリーセルに抱かれる事に嫌悪感や不快感は無い。
むしろそれは自分が望んでいる事であって、そういった関係になっている事実に幸福感を強く感じていた。
現に今も自分を抱きたいという幼馴染を目の前にして、鼓動の高鳴りを抑えられない。
しかし、このまま言葉に流され甘い時間を過ごすにはためらわれる程度に、フリーセルの成績は芳しく無かった。
せっかくその状況を立て直せる機会…勉強の時間を無駄にしていいものなのか…
「この復習が…終わってからじゃ駄目かな…」
「今、したいんだけど…ピノクル」
提案をあっさり断ろうとする彼の声色がどこか甘えるような声になるから意思がぐらつく。
でもここで引き下がるのは駄目だという気持ちが同時に強くなった。
「フリーセル…僕は君と一緒に進級したいんだ…一緒に卒業しようよ」
できるだけ優しい声で伝えようとしたけれど、出てきたのは泣きそうな声だった。
一瞬の沈黙の後にため息混じりの声が聞こえた。
「…分かったよ、だからそんな顔しないでよ…君の泣き顔はセックスしてる時以外はごめんだからさ」
ふふ、と困ったような顔で微笑む幼馴染の表情が見えた。
「ここの問題、分からないんだ。教えて貰えるかな?」
「…うんっ」
それから暫くは、先ほどのやり取りを不思議と忘れる程集中して時間が過ぎた。
気がつくと正午の時間を回っていたので二人で食堂へ行きランチを取った。
フリーセルがその後も部屋に戻ると勉強に集中していたのは正直意外だった。
結局、午後3時までその時間は続いた。
「今日はフリーセル随分と集中していたね」
「君があんな事言うからだよ」
「このまま勉強毎日続けていたら大丈夫だよフリーセル」
どうかなあと笑う彼の表情を無意識に見つめる。
窓から入る穏やかな午後の光が彼の金色の髪を縁取っていた。
不意に視線が重なりはっと息をつめる。
「ね、もういいよねピノクル」
そう言うフリーセルの頬が光の中でうっすら赤くなっているのを見て当初の彼の目的を思い出す。
彼の手が伸びてそのまま自身の頬に当たる様子がどこか映像の様に見えた。
気がつくと唇を塞がれている。
感じるのはフリーセルの柔らかい唇の感触だった。
何度目かのキスの後に荒くなった呼吸を整える。
少しぼやけた頭で思った事をそのまま呟く。
「正直…もう今日はしないのかと…思ってた」
「ふふ、そんな訳ないよね、勿論キスだけで終わらすつもりは無いよ」
微笑む幼馴染の唇が濡れて艶めいていた。
「まだ…明るくて…何だか恥ずかしいな…」
「夜まで待つつもりも無いからね」
フリーセルをこれ以上待たせるつもりは勿論無かった。
唯、いつも彼と体を重ねるのは日が落ちてからだったので
この明るい光の中で、という状況に若干の気恥ずかしいためらいがあった。
その様子にフリーセルも気がついたのか不意に思いついたように呟いた。
「じゃあピノクルちょっと待ってて」
そう言って部屋を出て行こうとする。
恋人の情事の前の急な行動に思わずあせりの表情になったのを見て
幼馴染は優しい声色ですぐ戻って来るからと言いドアを閉めた。
唐突に部屋に残される。
とりあえずベッドに腰掛け、フリーセルを待つことにした。
そういえばシャワーも浴びていない。
この間に浴びようか…と思ったが、直ぐに戻るという言葉を思い出し
シャワーは諦めてそのまま佇んだ。
唇に残った彼の感覚をなぞる様に手を添える。
彼と体を重ねた回数は既に覚えていない程ではあったが情事の直前のキスの後に
おいてけぼりを食らうのは初めてだった。
既に火照り始めた体温とそれを処理できない状況が寂しさを募らせる。
「フリーセル…」
不意にドアが勢いよく開いた。
「待たせてごめん」
そちらを向くと、肩で息をするフリーセルがいた。
実際思っていたよりも早く戻ってきた幼馴染は息を切らせて微笑みながら
手に持っていた物を差し出した。
「これ、つければ丁度いいかなと思って」
差し出された物を受取る。
黒い、丁度女性が顔を洗う時に付けるヘアバンドの様な形状の伸縮性のある布だった。
「これは?」
「目隠しだよ」
目隠しと言われ、渡された布の形状をもう一度確認し何となく使用方法を理解し納得する。
ただ、こういう状況で使うという事はつまりそういう行為の道具だという訳で
目隠し、という単語から連想する卑猥な場面が脳裏に浮かんだ。
「これ、つけるの…?」
「そうだよ。明るいの嫌なんだよね?」
確かに明るいのは気恥ずかしい。
だからといってこれを使用する性行為というのはもっと淫猥な物なのではないかと思案すると
幼馴染の待ち遠しいとでも言うような瞳と目が合った。
やっている事と似つかわしくないが彼のその愛らしい表情にはめっぽう弱い。
ただ、それでも残る理性でためらっている自分の様子に「仕方がないな」とフリーセルは呟くと
もう一つ用意していたらしいその目隠しを彼はためらう事なく彼自身に着けた。
「僕もつければフェアだよね、君の姿も見えないわけだし。ちょっと残念だけど」
彼の青い瞳は黒いその目隠しで既に隠れている。白い肌に不自然に横切る黒色が妙に目立つ。
その姿は予想以上に淫靡な視覚効果を持っていた。
「ふ、フリーセル…っ」
「あ、思っていたより本当に見えないなあ」
きょろきょろと顔を左右に向けるフリーセルの姿に目が放せない。
「ふふ、似合う?」
こちらの姿が見えないはずのフリーセルに心を見透かされるように問いかけられ
思わず上ずった声が出た。
「ねえ、早く君もつけてよ」
そうせきたてられると、最早嫌だとも言えずそのまま手にしていた目隠しを着用した。
普段、洗顔時に髪が邪魔にならない様こういった形状のヘアバンドを
使用する事もあったので同じ要領でつける。
いつもと違うのは、額ではなく目の位置にバンドを持ってくる事だった。
視界が暗くなる。
「つけたよ、フリーセル…」
「本当?」
「ほんとうだよっ…暗くて君の姿も見えない」
「へえ」
顔にフリーセルの手が触れるのを感じた。
あ、本当に着けてるね、そう呟きながら目元から頬に向けて手が滑る。
そのまま唇に手が添えられると、柔らかな感触がその位置に触れた。
ちゅ、ちゅ、と音を立て軽くキスを受ける。
そのまま添えられた手が首筋をなぞると上着のチャックに手が掛けられた。
ゆっくりとジッパーが下ろされる音と、上着の下の肌が空気に触れる感覚に思わず息が漏れた。
上着の前面が開放される。
ひやり、と冷たい感覚を腹部に感じる。
上下にさするように動くその冷たさは幼馴染の手のひらで
それは自分の体温を吸い取ると、暖かい感触に変化したのでその事に安堵した。
丁度胃の辺りから鎖骨付近を数回行き来した手のひらは胸の位置で不意に横にずれる。
指の腹で右側の弱い突起部分を見つけると、くすりと笑う。
「もう立ってるね…乳首」
そう呟かれると同時に指先でその先端をつままれたかと思うとこりこりとそこを主張するように弄られた。
言われたとおり、簡単に刺激に興奮している体を指摘されるとその事実に恥ずかしさが募った。
自身の体を弄る相手は見えない。
そのせいなのか、暗闇の中の行為にいつも以上に肌があわ立つのを感じていた。
意識が幼馴染の指先の動きに敏感になっている。
ただ幼馴染も状況は同じで、視界が見えないからであろう
探るようにいちいち手を動かされる動きがより一層、どこかもどかしい刺激を与えた。
一瞬突起部分に触れていた指が離れるのを感じる。
あ、と思う瞬間に指ではない、ぬるい水気を含んだ感覚を胸の筋肉に感じた。
そのぬめる動きとざらついた感覚でそれがフリーセルの舌であるのを直ぐに察知する。
ぬるぬると先ほどの突起部分をさけるように這い回る舌先に鼓動が早くなる。
「んふ…ちょっとしょっぱいね」
そう呟く相手の息を胸元に感じる。
「あ、あ…ご…ごめん…シャワー浴びてないから…」
「いいよそんなの、どうでも」
そのまま舌先が胸の突起を含んだ。
指とは違う、滑らかな動きで自身の弱い部分を強く吸い上げられる。
「ん…ん…」
水気を含んだ音をわざと立てるように吸い上げ、何度も舌で突起を刺激される。
首筋に彼の髪が当たり、くすぐったい。
暗闇の中脳裏に浮かぶのは先程の自分の視界が暗くなる前に見た幼馴染の目隠しをした姿と、今の行為の状況だった。
それは想像した光景にも関わらず、自身の受けている刺激と交わり、リアルに脳裏に映像を映し出す。
目隠しをした幼馴染が赤子の用にミルクの出る事はない自分の器官を刺激している。
その背徳的なイメージに脳裏が痺れるような快感を感じていた。
右から、左の突起へと刺激が移動する。暗闇の中で不意に行われる動作に思わず息が短くもれた。
いつのまにか、腰掛けていた筈の体はベッドへと倒されている。
そのまま胸元の刺激を楽しみ幼馴染の重さを感じていると
無防備な下半身に滑るように当たる手の感覚に、ぴくりと体が震えた。
ジャージのズボン越しに感じる動きは自身の体の中心を手のひらで包み、形をなぞるように上下した。
「ん…フリーセルう…」
「ここも、もう硬くなってるね…」
わざと耳元で状況を伝えてくる幼馴染の声も低く艶めいた物になっていた。
上下する手の動きは緩慢で、もどかしい。
相変わらず胸に刺激を与えられたまま、下半身にもゆるゆると服越しに刺激を与えられ
いつの間にか暗闇の中貪るように口を開いて息をしていた。
「僕も服を脱ぐから、君も脱いでもらえる?」
覆いかぶさっていた幼馴染の重さから急に解放される。
うん、と返事をして刺激にならされて火照る体を起こした。
相変わらず目隠しをしたままで視界は見えないが、自分自身の服を脱ぐのに支障はなかった。
ベッドの上に座ったまま、はだけたジャージの上、そして下を脱ぐ。そのまま下着に手を掛けずらすと
先ほどの刺激で既に準備された中心が勢いよく立ち上がる感覚を暗闇の中で感じた。
「ピノクルいやらしい格好…」
「え?」
相手の呟きで一瞬我に変える。
彼も目隠しをしていたはずで、なのに自分の状況を見ている様な事を言われるとは思わなかった。
それはつまり。
「ふ、フリーセル、目隠し外してる?」
「うん、脱ぐ時邪魔だったからさ」
相手の言葉にかっと顔が熱くなる。
「ずるいよ…じゃ、じゃあ僕も外すから…」
「だあめだよ」
悪戯ぽい口調でそう幼馴染は呟くと目隠しを外そうと上げた手首をつかみ
そのまま下に下げる動作をする。
「ふりーせるう…」
思わずねだる様に声をあげるが、目隠しを外すことは許可されなかった。
「君のその姿、予想以上にいいね…」
向かいあった体制のまま立ち上がった中心に手が触れる。
「あ…」
先ほどとは違い、明らかに開放を促す早い動作で上下する。
「はっ…あ…あ」
「気持ちいいピノクル?いつもより声が出ているよ?」
「いやだっ…フリーセル…んんっあ」
「ふふ、いい声だね」
中心から水気を含んだ粘質な音が響く。
目の前にいるはずの相手は見えないのに、無防備な自身の姿は明るい筈の部屋で
相手にしっかりと見られている。
その状況で生まれる羞恥心と弱い先端を刺激されながら上下するあらがう事の出来ない快感にびくん、と体がのけぞった。
同時に熱いものが先端から溢れる。
「ああっ…あっ」
どこに放っているのかも分からない、快楽のまま吐き出す射精の開放感に
それ以上何も考える事ができなかった。
「いっぱい出ちゃったね…」
嬉しそうな声が、どこか麻薬の様に暗くぼうっとした頭に響いた。
ねえ、僕ももう我慢できないんだ。
そんな声がきこえた気がする。
「はい、これ使って準備してもらえる?」
荒い息を整えていると、片手にひやりとクリームのような物が注がれる。
「え?」
「潤滑剤だよ…」
その冷たい感覚と、潤滑剤と言われた事で、準備の意味を理解する。
「あの…」
「勿論目隠しはしたままでね」
相変わらず嬉しそうに呟く幼馴染に、最早抵抗する気もなく
ゆるゆるとした動作で言われるがままに片手に乗せられたクリーム状の物を
もう片方の手の指に付けると、四つんばいの体制になる。
「ふふ、おしりこっちに向けてみせてよ」
その声のする方を頼りに言われた通り膝でシーツの上を這い、体の向きを変えた。
そのまま腰を上げ、腕を伸ばしてクリームを秘部に指でなぞるように当てる。
「ん…んっ」
指先を窪んだ穴の中にゆっくり入れる。潤滑剤のぬめりでそれは難なく可能だった。
そのまま、第二間接のあたりまで指を沈め出し入れする。
「はあ、はあ…」
暗い視界の中でその部分にだけ意識を集中させる。
体の中でゆるくなる潤滑剤の温度と指の刺激が気持ちいい。
「ん…あ、…」
指をさらに奥まで入れ、出し入れするとくちゅくちゅと卑猥な音が聞こえた。
「…いつもこうやって自分でやっているのピノクル?いやらしいね…」
後ろから聞こえる低い声で我に返る。
自身の感じる部分に触れる心地よさで忘れていた。
今の行為が幼馴染の眼前で行われているという事実を思い出す。
「あ…み、見ないで…フリーセルう…」
自身の痴態を覗かれている状況に、今更懇願するような声が漏れた。
「さ、さっきフリーセル、フェアじゃないっていってたよね…だからあ…」
もはや恥ずかしさと先ほどからの快楽で理性はだいぶ消えてしまっていた。
子供のような泣き声でねだる。
「お願い…ふりいせるう…」
「分かったよ…ごめんね」
四つんばいになった体の上にうしろから覆いかぶさる様にして
耳もとで幼馴染の声が聞こえた。
「ほら、もう僕も見えないから」
幼馴染にそのまま手をつかまれると、そのままに手を重ねるようにして腕を上にひっぱられる。
手のひらの先に彼の柔らかい頬の感覚と、鼻筋の上にある布の感覚が伝わる。
「ね?目隠ししているでしょう?」
「うん…」
ふいに優しい声色になったフリーセルに思わず安堵した。
「でもごめん、僕も目隠ししてるから…あの…ピノクルの中に上手くいれられないかも」
そう呟く幼馴染の声は、本当に困惑しているようで、先ほどまでの強引さとは違うその雰囲気に意表をつかれた。
「じゃあ…あの…フリーセルそのままでいていいよ…僕が自分で…入れるから」
「え?いいの?」
「うん…」
「なら僕の上に乗ってピノクル」
そう言うと、衣擦れの音が響く。
ベッドに横たわったらしい幼馴染に横から手を掴まれ自身の上へと誘導された。
「遠慮せず体重かけていいよ。…入れられる?」
「う、うん…」
フリーセルの太ももの辺りに馬乗りになると手を彼の腹部にそえる。位置を確認してそのまま手を下げていくと
立ち上がる物に片手がぶつかった。
「ん…」
彼のくぐもった声が響く。
既に硬く上に向かっているフリーセルの中心をそっと片手で支えた。
「君も…こんなになっていたんだ」
少し、先ほどの仕返しをするつもりで緩く扱きながら笑顔で指摘した。
「あ…だ、だって…ピノクルいやらしかったんだもん。エッチな声も凄かったし」
子供の様な口調から、姿は見えなくても彼がどんな表情をしているか想像できた。
そのまま片手でフリーセルの中心をささえ、膝で立ち
腰を浮かせて自分の秘部へとそれをゆっくりとあてがった。
くちゅり、と先ほどの潤滑剤のぬめる音が響く。
入口に相手の先端が当たると、もどかしさがつのる。
あせる気持ちを抑えフリーセルの敏感な部分に気を使い、慎重に位置を調整する。
先端から数センチ挿入されたのを感じて、支えていた片手を離した。
両手をフリーセルの体の両端に置いて、自身の体を支える。
「はっ…」
呼吸を吐き出してゆっくりと体を下ろし、相手を体の奥へ招いた。
「ん…んっあっ」
自分で挿入しているとはいえ、膨張した圧力が押し込まれる感覚に思わず声が出た。
「あ…は、入った…よ…ふりいせる…」
先ほどから沈黙していた相手の反応を伺おうと、声を掛ける。
「フリーセル?」
「ふふ、凄く暖かくて気持ちいいよピノクル…動いていい?」
「うん…」
その返事を合図に、腰の位置にフリーセルの手が添えられた。
そのまま下からゆっくりと突き上げる動作になる。
準備をしてある秘部は既に滑らかにその動きを促した。
「はあ…どお?ピノクル」
「き、きもち…いいよお」
次第に緩急をつけ、その突き上げが激しくなる。
「あっ…ああっ…!!」
暗闇の中で、意識が繋がった部分にのみ集中する。
「ピノクル…っ」
荒い呼吸とくちゅ、くちゅと卑猥な水音が、視界を塞がれた事で研ぎ澄まされた聴覚に響く。
相手に姿を見られていない、その事実にいつもより心が開放されているのかいつの間にか
大胆に腰を動かしている自分がいた。
「フリーセルうぅもっと!ねえ、もっとついてっ…」
「ふふ、いいよ…」
激しい動きに、自身の中心が上下に揺れフリーセルの腹部に音を立てて当たっていた。
その刺激すら快感になり、より一層声が上がる。
下から突き上げられ、重力のまま落ちると肌のぶつかる乾いた音が何度も響いた。
「はあ、はあ、良い?ピノクル?」
その先走る先端をふいに片手でつかまれ下の動きと同時に上下に扱かれる。
「ああっやだ…っ お、おかしくなっちゃうよお…ふりいせるうっ」
「ふふ君の中、なんだか見えるみたい。変だね、形が分かりそう」
「ぼくもっフリーセルの形わかるよお…」
暗闇が意識を集中させる。
研ぎ澄まされた感覚が、繋がった部分から、そして肌から伝わる快楽の情報を脳裏に映像のように伝えた。
以前にも似た感覚を味わった気がする。
互いに片手にはめた、あのリングをしていた時だ。
感覚が研ぎ澄まされ頭が冴え渡るあの感覚。
それはパズルを解く時に感じた開放感であったが
今感じている脳の快感は不思議とそれにどこか似ている気がした。
一瞬の思考も、強すぎる局部の刺激に散らされる。
何度も擦られる様にフリーセルの先端が自身の際奥に当たり
同時に中心を扱かれる動きは直ぐに痺れるような快楽に変わる。
繋がった部分から漏れ聞こえる卑猥な水音が一層強くなった。
「ああっあ…ふりいせるう、や、やだあ…もう」
最早泣き声に近い、懇願する声が漏れていた。
「あっあ…ピノクルっ…いきそう…もう…出してもいい?」
「いいよおフリーセル…っ中に…僕も…出…あ、ああっ!!」
頭の中で何かが弾ける様な感覚に襲われる。
自身の先端から勢いよく精液の吐き出される強い開放感と同時に
体の奥に何度も注がれる熱い感覚に
そのまま意識がどこかに飛ぶような気持ちだった。
「はあ…はあ…」
そのままフリーセルの胸に体を倒すように崩れ、呼吸をする。
フリーセルの胸も上下に動いて荒い呼吸をしていた。
にゅるり、と自分の体から彼の先端が抜かれる。
「あ…」
名残惜しいような感覚でそれをやり過ごした。
「気持ちよかったねえピノクル…」
「…うん…」
「これ癖になりそう…」
「うん…」
不意に視界が明るくなった。
フリーセルが自分に付けた目隠しを手で持ち上げ外してくれたらしい。
「フリーセル…」
やっと見えた相手も既に目隠しを外し、見えた青い瞳は恍惚としていて、それが嬉しかった。
外は既に日が傾き始めていた。
「気持ちよかったけど…やっぱりピノクルの表情が見えたほうが楽しいかも」
そういって抱き合ったまま青い瞳が微笑む。
「僕も…フリーセルが見えないのは嫌だった」
ふふ、と笑うとそのまま軽く口付けをされる。
「勉強もして、運動もして健康的な休日だったよね」
「運動って…」
「だってこれ、目隠ししたらいつもより何だか体力使うよね」
「そ、そうだけど…」
満足そうに言う幼馴染を見つめつつ、果たして健康的であるかどうかという疑問を
払拭する事はできなかった。
「次の休日も楽しみだなあ勉強して運動」
「え、またするの?」
「嫌なのかい?」
「い、嫌じゃないけどっ」
「じゃあいいよね」
「うん…」
とりあえず勉強はしてくれるらしいので、まあいいかという気分になる。
すっきりとしてきた頭で辺りを見回すと、いつも以上に情事の後で散らかった部屋が見えた。
とりあえず、シャワーを浴びて片付けて…そんな事を考えていると
幼馴染が悪戯っぽい笑顔で耳元で囁いた。
「また夜もする?今度は目隠し無しで」
先ほどの激しい行為の後に、まさかの延長戦を持ちかけられ呆れ顔になる。
「ま、またするの?」
「だって、夜は目隠ししなくてもセックスして良いんだよね??」
「あのねえフリーセル…」
勝手に解釈されたらしい自身の言葉に疲労感を感じつつ、どこか嬉しさを感じ
結局断れないんだろうなあ…と心の中で呟く自分がいた。
ふいに、にこりと微笑む幼馴染と目が合い、まるで心を見透かされた様で
思わず気恥ずかしさに目を反らし窓を見ると
木立の向こうに休日の太陽がゆっくりと沈んでいくのが見えた。
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